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脱腸(そけいヘルニア) |
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足の付け根の部分(=そけい部)がポッコリとふくらむ症状で発見されますが、医療機関で発見されるよりも、お風呂上がりやオムツ換えの際にお母さんが見付けることがほとんどです。手術を必要とする子どもの疾患では最も多く、言い換えれば、私たち小児医療従事者にとって、「手術が必要です」とお話しする機会が最も多い疾患なのです。しかし、我々にとってはよくある事でも、ご両親にとって「自分の子供が手術を受ける」というのは一大事です。だからこそ、我々は少しでも不安を取り除けるよう努めるべきなのです。
私自身、脱腸のお子さんをたくさん診てきた「医者」というだけでなく、実際に脱腸の手術を受けた子供の「父親」でもあります。ですから、よりご家族の立場に立ったご説明が出来ると自負しております。脱腸らしい症状が見られた方、あるいは他の病院で脱腸と言われたけれど心配な方、いつでもご相談に乗らせて頂きます。 |
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男の子のおちんちん(包茎) |
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私が一般小児外来に携わるようになって驚いたこと・・・それは、「男の子の包茎」に対するお母さん方の悩みが実に多いこと、そして必ずしも適切な治療やアドバイスを受けているわけではないこと、です。
包皮がむける程度が同じでも、0歳の乳児と10歳の小学生では当然、治療アプローチが異なります。また、ほとんどのお子さんは保存的治療にて軽快しますが、中には手術を必要とするケースもあります。
ここでは細かい説明は省きますが、お子さんのおちんちんがどういう状態なのか、漠然とした心配がお有りでしたらぜひ一度拝見させて下さい。その子その子に応じたアドバイスをさせて頂きます。少なくとも、お子さんを押さえつけて無理に包皮をむくのは「百害あって一利なし」です。ただ痛みを伴いトラウマになるだけで、将来的な包茎予防にはなりません。 |
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男の子の睾丸(停留精巣) |
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手術を必要とする小児疾患で脱腸に次いでよく見られるのが、この睾丸に関連する疾患です。これはもう、見たままで・・・ふくろ(陰のう)の中に睾丸が入っているかどうかです。
一度もふくろの中に睾丸を触れたことがないお子さんは「停留精巣」が疑われ、手術が必要となります。一方、「お風呂上がりにはしっかり降りているけど、オムツ換えの時は無いことが多い」という場合は「移動精巣」が疑われます。
こちらは通常、経過観察でよいことが多いのですが、中には「停留精巣との境界線」にいるようなケースもあり、注意が必要です。
もちろん命にかかわるような病気ではありませんが、男の子にとっては大切な臓器の一つです。もしもご心配であれば、一度拝見させて頂ければと思います。 |
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でべそ(臍ヘルニア) |
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見た目の問題が一番大きい疾患です。でべそが発生する過程などの細かい説明は省きますが、まず9割以上のお子さんが、1歳の誕生日を迎える頃には自然に治ります。ですから、よほどでない限り1歳前に手術を行うことはありません。ただし、1歳を過ぎてもまだポコポコとおへそが膨らんでしまうお子さんは、自然閉鎖が期待できない可能性が高いですから、ヘルニアの出どころを閉じる手術を必要とすることがあります。
もう一つ、でべそにおける問題は、最初に書いた「見た目」です。前述のとおりヘルニアの出どころが自然に閉じて問題解決・・・しても、おへその皮膚がたるんで見映えが悪いことがあるのです。特に女の子は、この皮膚のたるみがひどいと、将来「おへそを出す衣服や水着が着られない」などのコンプレックスが生じることがあります。その場合は、外に膨らんでいるおへそをくぼませる形成手術を行うことで、普通のおへその形に近づけてあげることがあります。 |
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うんちが出ない(便秘症) |
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「子どもはよく便秘する」=あながち間違いではありません。確かに、離乳食を始める時期や固形食中心に移行する時期などで、お子さんが便秘になることはよくあります。そしてたいていのお子さんは一過性で治りますから、特別な治療をすることなく経過観察されることがほとんどだと思います。しかしながら、習慣的に便を数日間腸に貯めておくことは、例え乳児期であっても、必ずしもよいこととは言えません。便秘は放っておけば治る・・・とは限りませんし、なかには、手術をしないと治らないような病気が潜んでいることもあるのです。
私は前任の病院で、大勢の便秘のお子さんを診てきました。赤ちゃんの頃から小学生になるまで、ずっと継続して診てきたお子さんも何人もいらっしゃいます。そうした経験を踏まえ、決してその場しのぎの短期的治療ではなく、長期的視野に立った治療をご提供させて頂きたいと思います。 |
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おもらし・おねしょ(遺尿症/夜尿症) |
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「焦らない、怒らない、起こさない」・・・よく言われている、おもらし・おねしょの治療における「3ない」です。ほとんどのお子さんは自然に治るわけですから、精神的に追い込むことが逆効果となり、余計な心身のストレスを引き起こしかねません。根気よくじっくりと、治療を進めていく必要があります。
ただし、遺尿症のお子さんのなかには、まれに器質的疾患が潜んでいることがあります。精神的要素によるおもらしではないわけですから、これはいくら本人が頑張っても治るものではありません。私も以前、中学生になるまで原因が分からず、手術によってようやく治った女の子の治療に携わったことがありました。いじめ、登校拒否・・・子どもが抱える闇は、時として大人の想像を上回る深さのことがあります。「おもらしくらい、そのうち治る」と安易に思わないで、お子さんの悩みをしっかりと受け止め、適切な診断や生活指導、治療を一緒に行っていきましょう。 |
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